『NO.2の男』 | 哀愁のハードコアライフ

『NO.2の男』

これは私と同じ部署にいる、頭がイカレた部署内「NO.2の男」の話である。

今日は部署内7人で新年会だった。
なぜこんな時期かというと、トップの男はやりたいと言い続けていたが、
下の4人が上3人を嫌っているため私達が拒み続けていた。
しかし、いい加減しつこいので面倒臭くなってやってあげることにした。

場所は会社近くの小料理屋。
メインはアンコウ鍋だった。絶品ではないが、なかなかの味だった。

宴が始まると店の主人が来て、自慢げにアンコウ鍋の説明を始めた。
その最中、「NO.2の男」は口を開いた。
周りのガヤで他の人は聞こえなかったようだが、確実にこう言った。

「うん、私は全然ウマイと思わないけど、なかなか」

私は凍った。
店の主人を目の前にして、自慢のアンコウ鍋を全否定した。
それだけでも十分ありえないが、この発言を言い換えると、

「うん、私はマズイと思うけど、なかなかイケルね」

まさに意味不明。解読不能。

この「NO.2の男」には前科があった。
過去に同じく部署内でレストランで食事をした時、
彼がさんざんワイン通を謳っていたので私は

「どんなワインがお好きなんですか?」

と尋ねた。
そこでワイン通の「NO.2の男」は

「ん!? すっぱくないヤツ」

という名言を残している。

この40を過ぎた「NO.2の男」のおかげで、
微妙な空気のまま今日の宴は終わった。

私はあんなオッサンには絶対なるまいと心に誓いつつ、
「NO.2の男」が新たなネタを提供してくれることを期待して家路についた。